SBAR(エスバー)を活用して看護師は申し送りでをしよう

看護師の申し送りには、SBAR(エスバー)という手法を活用するのがおすすめだ。SBARは医療安全対策に用いられており、Situation(状況)とBackground(背景)、Assessment(アセスメント)、そしてRecommendation(提案)によって構成されている、つまり、現状を把握した上で具体的な解決の手段を提案するというものだ。このSBARは、もともとアメリカのプロビデンス病院において看護師の教育方法の中で採用された手法である。分かりやすく相手へ情報を伝達することを目的としているだけでなく、医療安全という側面にも焦点を当てることによって、看護師の申し送りには最適なスキルと考えられている。

例えばSituationでは、頻脈とか血圧低下といった状況を簡潔に伝えよう。できれば数値と共に伝達すれば、次の担当看護師にも分かりやすい。

Backgroundは、多くの看護師が文章でダラダラと長くなってしまいやすい部分なので、注意が必要だ。看護師の主観や意見ではなく、できるだけ客観的な事実に基づいた背景を伝えるのが望ましい。

Assessmentは、看護師の主観がメインとなる。心筋梗塞を起こしているようだとか、患者さんの容態が少しずつ悪くなっているなど、看護のプロとして感じたことを簡潔に伝えよう。

最後のRecommendationでは、申し送りを呼んだ看護師が速やかに行動できるよう、何をすべきかを簡潔に述べよう。医師が車で時間がかかったり、どんな検査が必要なのかを提案することによって、スムーズなケアが可能となる。

【重要】看護師が申し送りで伝えるべき内容とは?

申し送りでは、患者さんを担当する次のシフトの看護師へ、患者さんについて必要な情報や状況を伝達するという作業だ。担当する看護師が変わるたびに患者さんが一から説明しなければいけないのでは、患者さんへかかる負担が大きくなってしまう。それに医師からの指示や家族からの希望が、看護師が変わるだけで分からなくなってしまうのも困るだろう。そうしたトラブルを未然に防いでスムーズな報連相をすることが、申し送りの目的なのだ。そう考えると、申し送りで看護師が何を伝えるべきかという内容が見えてくるだろう。

1つ目に伝えるべき内容は、勤務時間中の患者さんの容態だ。変化がなければ「変化なし」と申し送ればよいし、変化があった場合には、いつどんな変化があったのかという点を明確かつ簡潔に伝えよう。

2つ目に伝えるべき内容は、自身が勤務時間中に行った看護ケアの内容だ。点滴や注射などは、定時作業を含めるのか含めないのかは職場によってルールがあるため、ルールにのっとって記入すると良い。また、尿やドレーンなどの介助をしたら、その時間や量、症状などについても簡潔かつ明確に記入しておこう。

3つ目は、次の勤務時間を担当する看護師への依頼事項だ。家族からの希望や医師からの指示をはじめ、医師へどんな点を報告してほしいのか、次の看護師がするべき投薬や処置などをまとめれば良い。

申し送りは、文章形式よりも簡潔に箇条書きの方が分かりやすい。しかし箇条書きでは細かい点を網羅できないため、規定フォーマットの使い方を工夫しながら、分かりやすく情報伝達をすることをおすすめする。